SSブログ

音の生まれる街 [書を捨てよ世界に出よう・90年代バックパッカー編]

さて、だいぶ間が空いてしまったが旅はまだ続いている。

ウィーンからザルツブルグへ。

ザルツブルグとは塩の砦の意。これだけで赤穂を思うヅカ脳(from「忠臣蔵」)。わざわざ行った人。

さて、

ユーレイルパスを持っていると一等席に座れる。これは旅も終盤に入ってから気付いた事だった。

ただ人間観察にはどちらかと言えば二等席のほうがお勧めだ。

ウィーンから乗った列車では一等席を利用した。案の定空いている。各コンパートメント内に小冊子があり、時刻表やら各駅の情報などが載っている。さすがだ。

ザルツブルグには時間通りに到着。イタリアぼけしている身にはこんなことですら新鮮に感じる。

さて到着するとすぐに大きなバッグパックは駅に預け、小さくまとめたバッグだけを持ってユースに向かう。

(ウィーンでバックパックの車輪が取れてしまった挙句、行く先々で少しずつ何かが増えていく現実。重くて背負えない。腰にくる。だから無理するのはやめたのだ。)

チェックインを無事に済ませるとすぐに申し込んだ。

「サウンド・オブ・ミュージック ツアー」

悪いが好きだ、このミュージカル。曲がいい。景色がいい。時代背景もいい。

そして何と言ってもこれがノンフィクションであることに感動するのだ。

実際にトラップファミリーは存在していた。マリア先生もいた。そしてその後の一家はアメリカに渡りファミリー合唱団として活躍していた。実際の映画とは違う部分も多かれ少なかれあるにしても、こんなに有名なミュージカルが実際に存在していたある一家の物語であることに感動する。

ロジャース&ハマースタインの曲の数々が素晴らしい。“エーデルワイス”は母上のお気に入りのようで、小さい頃から子守歌代わりに聞かされていた。私が英語を学ぶ過程にはこういったミュージカルの曲があったのだ。

現在子供たちが繰り返し映画を見ながら歌を口ずさんでいる。“もうすぐ17歳”を歌う娘よ、まだ早い。もうすぐお前は8歳だ。残念。

ちなみに私は「すべての山に登れ」が好きだ。映画の最後に修道院長の包容力と深い愛に溢れた声で歌われる名曲。自分の人生の指針にもなっている。

バスツアーでは、映画撮影用風景と実際のトラップファミリーが過ごした足跡とのギャップを垣間見ることができた。トラップ大佐の屋敷として使われたレオポルズクローン宮殿、屋敷の外側の黄色い塀の場面に使われたフローンブルク宮殿などを周り、少し郊外に出てトラップ大佐とマリアが挙式をあげるシーンに使われたモントゼー教区教会へ。途中参加者全員で映画の中の数曲を歌いながら窓の外にアルプスの山々を見て少しばかり感動していた。参加者の出身国は様々なれど歌一つでまとまってる。そのことに感動していた。単純なのだ。

翌日、一人市内に向かいサウンド・オブ・ミュージックツアーをしてみた。

まずは街を見下ろすように建っているホーエンザルツブルク城へ向かう。頑張って上ってみた。城というよりも要塞といったイメージである。ここから見る街並とアルプスのパノラマビューはなかなかのものだった。

城を後にしてサンクトペーター教会へ。ここは映画の中でトラップ一家がナチに追われて隠れた墓地のあるところだ。何の情報もなくこの場所に行ったのだが、特徴のある墓地だったのですぐにわかった。ただ実際にはここを模したセットが使われたようである。

トラップ一家が逃亡する直前に参加した音楽祭の会場も探してみた。これまた何の情報もないのだが、それらしい所を見付けたので道行く老紳士に聞いてみた。するとどうもそうらしい。ついでに得た情報によると、この会場は元は司教の馬術場で、現在はザルツブルグ音楽祭の会場として使われているとのこと。会場は3つに分かれていて大劇場はカラヤンが創設した。夏になると音楽祭に合わせて屋根が開くんだよ。と丁寧に教えてくれた。

出会いと言えば、道ですれ違った老夫婦に挨拶がてら少しこの街の話を聞いたりしたのだが、この夫婦は元々はドイツ出身だった。旅行でここに来て一目惚れし、仕事をリタイアしてから数年前に移住してきたと話してくれた。

わかる、わかるよその気持ち。モーツアルトが生まれ、カラヤンが生まれ、サウンド・オブ・ミュージックの舞台にもなった街なのだ。でもそんな情報がなくてもきっと好きになるだろうと思う。そんな魅力的な街。

旧市街地にあるモーツアルトの生家から数軒先の店でコーヒーと共にアップルシュトゥドゥーデルを食す。

美味。

この旅もあと残すところ二日となった。

最終地はドイツ、ミュンヘンとなる。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。