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ローマは一日にして成る。 [書を捨てよ世界に出よう・90年代バックパッカー編]

今日は花組東京公演の千秋楽。

時差があるので、この時点では今日一日頑張れ、という言葉を送っておくことにする。

で、こちらは旅の続きを。

ミラノからローマへ。

早朝の列車に乗りミラノ中央駅を出る。ここからローマのテルミニ駅まで5時間を越える旅となるのだが、混んでいる。恐ろしいほどに満員。座る席どころか通路も人で溢れている。荷物置き場すらない。

何故だぁ~、何故なんだぁ~!

頭を抱える私に英国のご婦人が優しく教えてくれた。

「明日はイースターサンデーだから、皆家族の元に帰って一緒に過ごすのよ。」

そうか、お盆の帰省ラッシュみたいなものか。

通路に座るスペースをようやく見付けて、周りの人たちとお喋りしていると予定より30分オーバーしてローマのテルミニ駅に到着となった。

テルミニ駅。かつて母上が酔いつぶれて眠っていた駅である。(60年代バックパッカー編参照。)

駅を出て宿を探しているとジプシーの親子に囲まれた。昔NYのハーレムで電車を降りるなり数人に囲まれたことがあるが、それ以来の事で少しばかり緊張した。

とりあえずそこはスルッと抜け出てなんとか宿に滑り込んだ。実はローマの宿はどこも満杯だったのだが、列車で一緒になったバックパッカー仲間が紹介してくれたところに空きがあったので助かった。

ここは10人部屋ぐらいだったと思う。2段ベッドに空いた場所を見付けて荷物を置く。これでとりあえず眠るところは確保できた。近くのBarで夕食を済ませると明日のプランを立てることにした。

ロビーで情報収集しているうちに、いつの間にやらそこに集う数人で終末論トークになっていた。コソボ紛争解決に向けてNATO軍がセルビアの空爆を行った時期だったので、特に東欧出身のバックパッカーは熱く自論を展開した。

様々な意見が飛び交うが、誰も皆自分の国が一番好きという気持ちは譲れない。話に収集がつかなくなってきたので私のほうから宇宙視点で地球を見ることを提案してみた。(極端すぎてどん引き。)

人類皆兄弟なんて甘ったるい事はあえて言わない。ただ歴史は繰り返すし、紛争は止まない。それが現実と知った上で、瓦礫の中に花を見つける努力をする。バッグパック一つで国境を越えられる人間だったら凝り固まった思想も越えられるはずだと力説してしまった。(うざい。)

さて、翌日はヴァチカン市国からスタートした。

ローマ市内からバスで向かうも渋滞。ようやく到着したらすごい人、人、人。今日はイースターサンデー、世界中からカトリックの総本山に熱心な信者が集まっているのだ、この混雑ぶりは当然である。

サン・ピエトロ広場で特に人だかりができている一角があって、チケットがどうのこうの言っているのが聞こえた。チケットと聞けばヅカファンたるものじっとはしていられない。で、私も混ざってみた。「ちょうだい、チケットちょうだい」と高く手を伸ばす。すると何としたことか、品の良い黒人司教様がおいでと手招きしてチケットをくれた。

チケットを見せると恐ろしい事に来賓席近くに通された。今日はローマ法王が聴衆の前でお話をする特別な日。だから皆正装して席に着いている。やばい。この状況はやばい。あまりにも場違いすぎる。だいたい有り難いことではあるが、これではローマ観光ができないではないか。そう思うとすぐに通路を戻り、他の人にチケットを譲って広場を後にした。(罰当たりな。申し訳ない。)

サンタンジェロ城を見学し、テヴェレ川を渡るとナボーナ広場を通過、ヴェネチア宮殿を見て、フォリ・インペリアーレ通りを歩きフォロ・ロマーノを見ながらコロッセオに向かった。

コロッセオは奴隷と猛獣を戦わた場所としても有名な円形闘技場である。映画の舞台にもなっているが、これだけ大きな場所に観衆が集まり、人と猛獣の戦う姿をライブで楽しむという感覚は、今で言うところのスポーツ観戦と変わりなかったに違いない。非常に原始的ではあるが、血生臭い部分も含めエンターテイメントに昇華させるやり方はエロス(生への欲望)とタナトス(死への欲望)という言葉をも連想させる。

偉大な歴史の建造物の片隅に立っていると血の匂いが、幻覚か?すると鼻から・・・どうも暑さでのぼせたようだ。

コロッセオを後にしてメトロに乗りスペイン広場に向かう。地元の人しかいないような路地裏の食堂で昼食をとると骸骨寺に向かった。

骸骨寺を見付けた途端、残念ながらコロッセオの記憶再び、というか・・・血沸き肉躍ったまんま。仕方なく入口だけで諦めて宿に戻った。

“ローマは一日にして成らずと言うが、ローマは一日で歩ける、一日で成る。” と達成感あふれる思いがメモから伝わってくるが、単に急ぎ足で通り過ぎただけである。

明日はナポリへ向う。と、ここでヴァチカン美術館に行っていないことに気付く。相変わらず肝心なところが抜けている。(三回目。)続く。


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