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泳ぐ人、辿り着く [生きる力]

昨年末にホームから病院に運ばれて、

病院で酸素MAXな日々を過ごして一度回復し、そこから緩和病棟のある病院に移り、そこで90歳を迎えていた父上が先週亡くなった。


父上の実の娘が「死なない男」と冗談めかして笑っていたが、やはり来るときは来たのである。


心の旅人になってからホームに入居し、本人がパニックを起こすからという理由とコロナ下とで面会できないまま3年が過ぎ、病状が悪くなった時にようやく面会が叶ったのが昨年末。


ホームを出てからの父上はベッドに横になったまま話ができる状態ではなかったが、今までの会えなかった日々を埋めるように母上は病院に通い、一方的に愛の言葉を送っていた。二人が再婚してから40年近く経つがいつまでも新婚さんのような微笑ましい関係である。


最期の日は朝早くから病室に居て静かに旅立つ瞬間まで母上と見守っていた。ここまでくると穏やかなものである。ただ一生懸命に呼吸をしている姿に水泳選手だった(戦後米軍基地で水泳コーチをしていた、もう少し足が長ければオリンピックに出ていたと自慢していた)父上の姿を重ねて、向こう岸まであと少しだから頑張れと母上と声援を送っていたので、ようやく辿り着いた事に安心したのだった。


人が良いから六文銭を誰かに譲ってしまって自分は泳ぐから良いなんて言ってしまったのではないか、なんて話もしていたが、考えてみれば向こう岸に渡るのも六文銭が必要なのも亡くなった後のことであった、と今更。


そんなこんなで本人もようやく自由になって母上も寂しさもあるが安心したと言っている。


手作りのシンプルな家族葬は笑いの絶えない心のこもった良い時間であった。


父上の娘家族と血のつながりはないが二人が再婚した事で一人っ子の姉と一人っ子の妹(私)から始まった小さな家族が孫、ひ孫に繋がる大きな家族になった縁にお互い感謝できる関係でいられる事が嬉しい。


お父さん、ありがとう。


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