純粋無垢 [大空祐飛・大空ゆうひ]
お七ちゃんは限りなく真っ直ぐで真っ白で透明で、
感情が高ぶることはなく穏やかに全てをのみ込んでわかっている聡明な大人の女であった。
だって本当の恋を知ってしまったから、と言われてしまえばお代官様も何も言えまい。
お七ちゃんはもう全て覚悟の上なのだ。だから穏やかで潔く真っ直ぐで真っ白で・・・。
燃えるような恋心を炎の中に抱いてもう誰にも邪魔されない所へ旅立つ。
尺八やギター、三味線が古典的な音を越えて物語の景色を静かに作っている。
そこに朗読と舞踊が入って立体的空間ができているのだが、全体的に表現が押しつけがましくなく観客の想像力に委ねるような作りなのが良い。
特に大空さんの持つ引きの芝居の魅力がこのお七にぴったりはまっていて、純粋無垢さ加減と台詞を台詞としていないというか淡々と言葉を一つ一つ紡いでいく感じが江戸時代の話でありながらすぐそこにいるお七ちゃんで、もう真っ直ぐすぎて愛おしい。
あー大空さん好きだー!
そんな吠えたい思いを抱いたままマスクの下で平静を装って外に出ると現代のビル群に囲まれた首塚があった。
そうか、ここだったのか・・・と少しばかり我に返る。
我に返って江戸城方面を目指す。
石垣が大きいな、と改めて。
あの忠臣蔵の切っ掛けとなった場所もあった。これも江戸繋がりだ。
かつての天守台から見る現代の街。
見上げた空にお七ちゃんを思う。
まもなく閉門。江戸から東京へ。
良い時間に入れたらしい。
そのまま足を延ばして、
更に先に進み、
最後はここでゴール。観てないけどやはり安心する場所だ。
良い一日であった。
大空さんのお七ちゃんに出会えて良かった。
2021-09-11 23:53
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